わが家で過ごすだけでリフレッシュ!街の喧騒を感じさせない『木楽な家』
街並みに馴染む普遍的なスタイル
I邸が建つのは、鹿児島城下だったエリア。江戸時代から明治初期にかけては、武士や士族の家が並ぶ武家町があり、主要街道が通る交通の要であった。住宅地となった現在も所々に残る石積みの土留めに、古の風情が残る。そんな町の歴史的背景にも、現代的で利便性のいい住宅街にも、違和感なく馴染むのが尾堂産業の『木楽な家』。
近年は,杉の黒芯を用いた板壁が個性的な外観を演出する『木楽な家』だが、今回は街中という環境もあり、落ち着きのある塗り壁の外壁と瓦屋根を採用。とはいえ、軒天や通風可能な木製雨戸、フェンスといった天然木が目を引くアクセントになっているのは同社ならでは。
車や人の往来が多い道路沿いの敷地だが、1mほどの高低差とフェンスのおかげで、通りからの視線を気にしなくて済む。これはIさんがリクエストした『カーテンを閉めない家づくり』を叶えるため。光と風を取り入れながらプライバシーも確保する、とっておきの作戦である。
抜け感と巣篭もり感を両立させる窓配置
敷地面積が約40坪、建物の延床面積は容積率ギリギリの約22坪。数字だけ見るとこぢんまりとしているが、室内に入った時の印象は全く違う。コンパクトながら窮屈さを感じないのだ。理由は、吹き抜けを含めて空間全体が緩やかにつながっていること。そして、フルオープンの窓が4つも備わっていること。うち3つがリビング・ダイニングのコーナーに配され、開け放てば半露天のような開放感を味わえる。
椅子やソファに座ると視点が低くなり、フェンスや窓の配置と相まって、余計な風景をトリミングする効果も。加えて、窓とフェンスまでを埋めるウッドデッキの設えが屋外との一体感を創出。窓枠に腰掛けの機能をプラスしたり、ウッドデッキにも段差を付けたり。家の中のいろんな場所でくつろげるよう仕掛けが施されている。特にダイニングから屋外へ続く雰囲気がお気に入りのIさんは、「デッキに七輪を置いて、息子と酒を飲むのが楽しみです」と笑う。
将来を見据えた機能的でエコな性能
実はIさん、10年ほど前に同社で初めての家づくりを経験している。以前の家は子育てを中心に構築したプラン。今回は空間のつながりを重視した、人も空気もスムーズに流れるプランといったところ。カーポートからLDKまでの直線的な動線や、一部屋で何役もこなす和室など、機能性を磨いた間取りは、年齢を重ねた将来の生活にも対応する街中の小さな家のお手本と言えそうだ。
現在は生活の拠点が職場近くにあるため、しばらくはセカンドハウスとして使われるI邸。不在が続く場合でも、熱(太陽光)と空気を活用する”びおソーラー”が室内の換気を担当。さらにたっぷりの天然木と漆喰塗り壁がもたらす調湿機能が加わり、温度を持った新鮮な空気が家中を巡ることになる。冬は床下エアコン、夏は2階のエアコンと組み合わせ、快適な室温環境を実現。「床板がほんのり温かく、冬は靴下を脱いで過ごしていました。『木楽な家』の素晴らしい進化を実感しています」。