25坪の平屋に機能と工夫が満載 小さくて心地いい『家事楽ハウス』
家事がラクになって散らからない家
小さな家で大きく暮らす、をコンセプトにした尾堂産業の家づくり。そのために深化し続けているのがレイアウトによる家事&生活動線のコントロール。O邸が5棟目となる『家事楽ハウス』と名付けたプランでは、整理された動線に加え、片付けやすい収納の提案や工夫がギュッと詰め込まれている。
特筆したいのは、キッチンからの広々とした視界。ここから管制塔のように家の中を見渡せ、把握できるので、奥様がテキパキと家事をこなすことができる。もともと収納や片付けにしっかりとしたスタイルを持っていた奥様。同社の『家事楽ハウス』と出会い、収納術もさらにパワーアップ。
「見せる収納が苦手」と話す奥様のリクエストで、造作収納にはほぼ扉を設けている。とくに細々としたモノが多いキッチンは、カゴで分類して見た目もスッキリと。どこに何があるか一目で分かるので、家族みんなが必要なモノを見つけやすい。ということは、奥様が動かなくてもいいということ。こうした工夫も家事楽へとつながるのだ。
連続性を持たせて広がりを感じる空間に
「木の家を探していた」というOさん夫妻は、音響熟成木材や漆喰など、自然素材を採用した健やかな造りや同社の家づくりのコンセプトに共感。「敷地面積約54坪の土地に、2台分の駐車場がある平屋を建てたい、というお願いをしまして…」と苦笑いするご主人。結果的には庭を割愛して、建坪約25坪の平屋が完成した。
しかし、室内に入ると25坪とは思えないほどゆったりとした空間が広がる。完成見学会でも、来場者から「広い」の声が多かったそう。理由はリビングダイニングの吹き抜けや、一体感のあるレイアウトにあり。同社が手がける平屋では、通風性を高める狙いもあって、勾配天井と小屋裏の組み合わせが定番となっている。O邸はさらに間仕切りが最小限。個室のドアは引き戸にして、ふだんは開けっぱなし。トイレも開けたままで違和感がないよう、計算された配置に。収納がメインの小屋裏には、密かに書斎も備わっている。家族の暮らしに必要なモノや空間を取捨選択。機能美をかんじさせるコンパクトな住空間をカタチにした。
コンパクトさを活かし動線と機能性をアップ
ダイニングテーブルでデスクワークをしたくないという奥様の要望で、キッチンの一角に家事デスクを設置。子ども部屋にも近く、ここからもリビングダイニングを見通せるので、家族の声にもすぐに反応できる。また、家事の中でも手間のかかる洗濯動線の配慮にも注目したい。洗面・脱衣室は勝手口から物干し場へダイレクトで出られる他、家族の衣類を収納する主寝室とも直結。洗う→干す→しまう→の流れを回遊性のある動線でスムーズに行え、忙しい朝の身支度にも効力を発揮する。
家族団らんの中心となるリビングには、テレビとソファの間に2帖分の畳スペースがある。通常ならカーペットを敷くところだが、それがイヤで代わりに畳を入れることに。畳間ならそのまま座れるし、横になってくつろぐのも気兼ねなくできる。ちょっとした工夫だが、Oさん家族にとっては大切なポイント。息子さんもリビングで「落ち着く〜」と声に出してしまうほど。その素直な感想が、O邸での暮らしの心地よさを最大限に表していると言えそうだ。