森の中に住んでいるような安心感で
温かな笑顔と希望を包む住まい
家に居ながら別荘気分を味わえる。
「冬も冷気を感じないし、夏は涼しくて避暑地でキャンプしてるみたいに清々しいんです」。確かに「木楽な家」の特徴である、くん煙処理を施した形状記憶木材をふんだんに現わしたI邸は、入居後半年がたつというのにまだ木の香りを放っている。床板は木目を洗い出した杉の「うづくり」を採用。塗装をしていないので冬の朝でも冷たくなく、裸足で過ごせるという。
「家は心から寛げる場所」とご主人。すかさずこだわりの浴室が話題に。I邸の浴室は当初から東南の角という好位置をキープ。決めたのはもちろんご主人だ。浴室のこけら落としでは、息子さんと一番風呂を競い、バトルを繰り広げたたとか。「窓にカーテンが必要ない場所を探した」というように家の裏手は斜面になっており、視界いっぱいに緑の山や空が広がる。その景色を浴室から眺められるのだそう。
広がりを感じさせる空間演出。
お気に入りの場所をあえて言うなら、玄関から和室の外への眺めでしょうか。和室の外はブロックののり面だったので、石灯籠と竹をつかっって小さな庭を窓外に作り、奥行と雰囲気を出しました。
コミュニケーションが深まれば、絆もより深く。
以前はテレビ大好きの家族だったそうだが、この家に引っ越してからリビングにテレビを置かなくなった。それでも家族はリビングに自然と集まり、家族の会話が増えたという。リビングから丸見えにならないように間取りをとったキッチンは、ともすれば家事をする奥様が孤独になりがち。
そこで対面に広めのカウンターテーブルを作りつけ、キッチン周りにも家族や遊びに来た友人が集えるように一工夫。I邸の1階フロアは、人とのコミュニケーションを深める役割を果たしているように感じられる。
ご夫婦が共働きということと、解放感を得るために大きな吹き抜けを作ったM邸では、不在の間の換気やエネルギー効率も気になる点だったという。そこで「木楽な家」にウレタンパネルを使ったFP工法を合体。外気の温度を伝えにくい樹脂サッシや複層ガラスを採用して、より高い気密性・断熱性を持たせ、計画換気と省エネルギーを実現させている。木の特性を存分に引き出し、大満足の住まいに。
リビングダイニングの大きな吹き抜けが印象的なM邸。構造梁あらわしや、ひさしの勾配を利用したアクセントが心地よいリズムを作り出している。そのリビングの外には広々としたウッドデッキが。土地の形状を巧みに利用した結果の素敵なポイント…だけじゃなく、部屋の中から外へ、空間の広がりをもたらしている。
さらに特筆したいのは床板。家の中で床板が占める面積はかなりのもの。それが塗装されたタイプでは、木が呼吸をしてくれず、せっかくの良い特徴を失うことになる。そこで尾堂産業が提案したのが、“うづくり”と呼ばれる加工を施した床板だ。木目が洗い出されたように浮き出ていて、足裏にボコボコと当たる。歩いていても気持ちがいい。担当の尾堂さんも「完成した家で見学会を開くと、私たちは2日間ほどたちっぱなし、歩きっぱなしでかなり足が疲れるんです。それがM邸で見学会を開いたときは平気だったんですよ」と絶賛。”うづくり”の床板は、木を呼吸しやすくしただけではなく、意外な効能まで引き出してしまったらしい。
間取りでは家事動線、生活動線を考慮し、無駄のないスペースの配置を心がけた。建築中でも大工さんの工夫で、階段の手摺りに掴みやすいように溝が作られていたりして、見に来る度に住まいに対する新しい発見や心配りが感じられたそう。
「今でも尾堂産業さんの建てたほかの家の見学会には出かけてます。その新しい家を見ても羨ましく思うことがないんですよ。変な意味ではなく、それだけ我が家に満足してるってことですから」。終始こぼれるご夫婦の笑顔と木の住まいがとてもよく似合っていた。